歯がしみる原因とは?知覚過敏・虫歯・歯周病に分けて解説

冷たいものを食べたり飲んだりした際に歯がしみる原因は、複数存在しています。歯がしみるときは虫歯などの口内の病気にかかっている可能性が高いため、歯科医院を早急に受診しましょう。

今回は、「知覚過敏」「虫歯」「歯周病」という歯がしみる3つの原因から、それぞれの疾患の特徴・症状・治療方法までを解説します。歯がしみる具体的な原因について知りたい方や、歯がしみる痛みから解放されたい方は、最後まで読んでみてください。

1.歯がしみる3つの代表的な原因

歯がしみる場合は、さまざまな原因が考えられます。ひとつの原因だけではなく、複数の原因が重なっている場合もあります。歯がしみる代表的な3つの原因は、下記の通りです。

・虫歯

歯がしみる原因として最も可能性が高い疾患が虫歯です。虫歯が進行して歯の神経の近くまで到達すると、冷たい食べ物や飲み物で歯がしみる症状が見られます。

・歯周病

歯周病は、歯ではなく歯の周囲の歯肉の疾患です。歯肉が炎症を起こして歯茎が下がり、歯の根元が露出すると、飲食や歯磨きの際に歯がしみることがあります。

・知覚過敏

知覚過敏では、内側の敏感な象牙質が露出している状態です。歯の表層の丈夫なエナメル質が欠けたり薄くなったりして、歯がしみたり痛みを感じたりします。

歯がしみる場合、放置していて症状が改善することはありません。虫歯や歯周病の場合は、放置していると症状が悪化してしまう恐れもあります。歯がしみるときは早急に歯科医院を受診し、原因を明らかにしたうえで治療に取り組むことが重要です。

2.歯がしみる知覚過敏の特徴・原因・治療方法

知覚過敏の場合、熱い・冷たい・甘い・酸っぱいなどの特徴のある食べ物や飲み物を口に入れると歯がしみたり痛みが出たりします。反対に言うと、知覚過敏がなくなればしみることも痛みを感じることもありません。常時痛い・しみている場合は、虫歯や他の病気である可能性が高いです。

知覚過敏の場合は、歯が再石灰化すればエナメル質が復活して痛みがなくなることもありますが、基本的に歯の疾患は放っておいて良くなりません。どんどん悪化してしまう場合もあるため、まずは歯科医院で知覚過敏なのかそうでないのかをチェックして、適切な治療を受けることをおすすめします。

2-1.知覚過敏の原因

知覚過敏で歯がしみる原因は、エナメル質が削れてしまっていることです。エナメル質は、歯の構造において露出している一番外の部分で、体の中でも一番硬い部分です。そのエナメル質が削れてしまった場合、その次の層の象牙質部分にある細管から神経に刺激が伝わり、歯がしみる、あるいは痛みがあるという状態になります。

エナメル質が削れてしまう原因には、「歯磨き粉の研磨剤や歯磨きの力が強すぎる」「食べ物や虫歯菌が出す酸」「ホワイトニング剤の影響」「歯茎やせ」などが挙げられます。歯がしみるようになったときは、これらに当てはまる節がないかどうかまずは確認してみてください。

2-2.知覚過敏の治療方法

一時的ではあるものの、食べる・飲むことに弊害が出てくる知覚過敏は、知覚過敏があるだけでご飯も飲み物も楽しめないため、常時痛みがなくても意外に辛い疾患です。日常生活を楽しむためにすぐ治したいという方に向けて、知覚過敏の6つの治療法を紹介します。

・コーティング

フッ素・セメント・レジン(樹脂)などで象牙質が露出している部分をコーティングし、神経に刺激が伝わらないようにする治療法です。歯磨きや歯ぎしりなどでコーティングが毎日すり減ってしまうことがあるため、知覚過敏症状がなくなるまでは継続して付け足していくことが必要となります。

・マウスピース

マウスピースは歯ぎしりが原因となっている知覚過敏の場合に使います。寝ている間は意識できないため、マウスピースで歯をガードし、知覚過敏が進行しないように予防します。

・知覚過敏用の歯磨き粉

カリウムイオンなどが配合された象牙質をカバーできる機能を持った歯磨き粉を使って、知覚過敏を抑えます。使い始めてすぐにしみなくなる、痛みがなくなるという即効性はありませんが、使っていくうちにしみる回数や対象物が減っていくことは実感できるはずです。

・鎮痛剤

あまりに痛みが激しい場合などは、痛み止めとして鎮痛剤を処方します。一時的な治療であるため、他の方法で対応を進めながら日常生活ができるように薬をうまく使っていくことが重要です。

・レーザー

象牙質部分をレーザーで照射することで、「しみる」という症状を緩和できます。象牙質は露出したままの状態になるため、虫歯や歯周病には注意してケアすることが重要です。

・神経を抜く治療

あまりに痛みが強く生活がままならない場合は、神経を抜く治療も可能です。しかし、神経を抜くと養分を送る部分がなくなってしまうため、歯がもろくなり、虫歯などの疾患がどんどん進みやすくなる可能性があります。色味が悪くなる場合もあるため、治療のデメリットをよく理解した上でどうするかを考えてみてください。

このように「知覚過敏」と一口に言っても、歯ぎしり・歯周病などの癖や病気が原因となっていることもあります。症状がひとつのように思えても、実は複数の治療を並行して行う必要があるケースも少なくありません。勝手に思い込んで自分で対処するのではなく、専門家に見てもらって一番よい方法を選んでみてください。自分の健康を長く維持するためにも、健康な歯をしっかり守っていきましょう。

3.歯がしみる虫歯の特徴・原因・治療方法

虫歯とは、口内で虫歯菌と呼ばれる細菌が繁殖し、歯を溶かす酸を出すことで歯に穴が開くなどのダメージを受ける疾患です。虫歯が一定上進行すると、飲食や歯磨きなどの刺激が神経に伝わり、歯がしみたり痛みが生じたりといった症状が出てきます。

一度虫歯に侵された歯は自然に治ることはなく、放置していると虫歯が徐々に進行してしまうため、歯科医院での治療が必要となります。ごく初期の虫歯を除いては、虫歯に侵された部分は削り取る以外に方法がありません。削った歯の状態に応じて詰め物や被せ物を装着して機能回復を図ることが、虫歯の一般的な治療法となります。

3-1.虫歯の原因

虫歯は、虫歯菌と呼ばれる細菌が口内で繁殖することが原因で罹患します。虫歯菌は人間の口内に一定数存在しており、食べ物などに含まれる糖分を餌として繁殖する性質を持つ菌です。口内が食べカスなどで汚れている時間が長いと、餌となる糖分が豊富であるため虫歯菌が繁殖しやすく、虫歯になりやすくなります。

虫歯を予防するためには、虫歯菌の餌となる糖分を与えないよう甘いお菓子やジュースを控えたり、丁寧に歯磨きを行って食べカスを除去したりすることが重要です。

3-2.虫歯の治療方法

虫歯は歯科専門用語で「カリエス」と呼ばれ、その頭文字である「C」と0~4の数字の組み合わせで、虫歯の進行度を示します。虫歯の進行度ごとの治療方法は、下記の通りです。

・C0

C0は、歯に小さな穴が開く程度の初期の虫歯です。フッ素を塗付して歯の再石灰化を促すことで、歯を削らずに治療できる場合もあります。同時にセルフケアとなるブラッシング指導も行われます。

・C1

C1は、歯の表層を覆うエナメル質のみに穴が開いた、軽度の虫歯です。再石灰化での治療はできないため、歯を削って詰め物を装着する治療が必要となります。

・C2

C2は、エナメル質の下にある象牙質まで到達した中程度の虫歯です。象牙質は知覚があり刺激を感じる部分であり、治療には痛みが伴う可能性があるため、麻酔をして歯を削って詰め物や被せ物を装着します。

・C3

C3は、歯の神経まで虫歯が到達した状態です。神経まで進行している場合は、激しくしみたり痛みを感じたりします。そのため、麻酔をして歯を削り神経を取り除く根管治療を行い、内部を消毒して薬剤を詰めた後、被せ物を装着します。

・C4

C4は歯のほとんどが欠損し、歯根にまで虫歯が到達している末期の状態です。神経が死んでいるため、痛みは感じなくなります。歯を残せる場合は根幹治療を入念に行い、土台を立てて被せ物を装着します。歯を残せない場合は抜歯を行い、入れ歯やブリッジの装着を検討します。

4.歯がしみる歯周病の特徴・原因・治療方法

歯周病とは、細菌の感染によって歯肉に炎症が起こる、炎症性の疾患です。歯と歯茎の境目の歯周ポケットと呼ばれる溝に細菌が溜まることで、歯の周りの歯肉が腫れたり赤みを帯びたりといった症状が現れます。

歯肉の状態が悪化すると、痛みや出血が見られる場合もあります。歯周ポケットが深くなると刺激に敏感な歯の根元が露出するため、歯がしみるように感じます。歯周病を放置していると歯周ポケットがどんどん深くなり、やがては歯を支える骨が溶け、歯が抜け落ちることも少なくありません。

歯がしみる原因が歯周病の場合は、歯周病がかなり進行している可能性があるため、早急な治療が必要です。

4-1.歯周病の原因

歯周病の原因は、歯垢(プラーク)内部に存在する無数の細菌です。プラークは歯周ポケットに溜まりやすく、不十分な歯磨きなどで歯周ポケットにプラークが溜まると、細菌が繁殖します。

歯周病は、細菌が出す毒素によって歯茎が炎症を起こすことで罹患します。歯周病を防ぐためには、日々の歯磨きや歯科医院での歯石除去などで、歯周ポケットの状態を良好に保つことが重要となります。

4-2.歯周病の治療方法

歯周病の治療方法は、炎症の原因となるプラークを取り除くことが基本です。歯周病の進行度合いによって、適切な治療方法は異なります。

・スケーリング

スケーリングは、スケーラーと呼ばれる器具を用いて、歯の表面や歯周ポケットの浅い部分のプラーク・歯石を取り除く治療法です。軽度の歯周病治療や、歯周病予防のメンテナンスとして行われます。

・ルートプレーニング

ルートプレーニングは、スケーリングでは取り除くことが難しい、歯周ポケットの奥深くに付着したプラークや歯石を取り除き、歯面を磨いてプラークの再付着を防ぐ治療法です。歯周病が進行してポケットが深くなっている場合に行われます。

・歯周ポケット掻爬術

歯周ポケット掻爬術とは、歯周ポケット内にプラークや歯石が大量に付着している場合や、感染した組織が見られる場合に行われる外科的治療法です。歯茎に麻酔を行い、汚れや感染組織を取り除きます。

・フラップ手術

フラップ手術とは、歯茎を切り開いて歯根を露出させ、プラーク・歯石・感染組織を取り除く外科的治療法です。歯周病が歯周ポケットの奥深くまで進行し、他の方法ではプラークや歯石を取り除けない場合に効果的な方法となります。

・再生療法

歯周病が進行して、歯の周りの骨や膜などの組織が破壊されている場合に用いられる治療法です。特殊な薬剤や人工の膜を用いて、破壊された歯周組織の再生を促します。

まとめ

歯がしみる場合は、知覚過敏・虫歯・歯周病のいずれかの原因が考えられます。どの原因であっても、歯がしみる症状が自然に回復することはないため、歯科医院を受診するようにしましょう。特に、虫歯や歯周病が原因の場合は、放置していると症状が進行してしまうため、より強く歯がしみるだけでなく、治療期間や治療費も多く必要となります。

歯がしみることで悩んでいる方は、原因と解決方法に関する予備知識を身に付けて、歯科医院での原因究明と治療にいち早く取り組みましょう。

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